ALUMNI

今井 陽子氏

2021/06

今井 陽子(イマイ ヨウコ)氏

1987年入学・1991年卒業  第二学群 生物学類

[現在の職業(勤務先・役職等)]

NHK(日本放送協会) 放送総局付 (出向)NHKエンタープライズ 制作本部 国際番組部 エグゼクティブ・プロデューサー

(1) 現在のお仕事を聞かせてください。

テレビ番組のプロデューサー(制作統括)をしています。NHK World(国際放送)で放送・配信中の「DIRECT TALK」という定時番組をはじめ、BS8K、BS4K、BS1、BSP など、各チャンネルで放送するドキュメンタリー分野の特集番組も担当しております。ディレクターとして入局し、国内外を取材・ロケして様々な番組を作って来ましたが、10年ほど前からは、各国の制作者達が集う"国際企画会議"やコンテンツの国際見本市に参加するようになり、海外の制作者と一緒に作る"国際共同制作"や世界で話題の番組を購入して日本向けに放送する仕事もしています。


(2) 今改めて、筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

筑波大学の良い点は、"多様性"がある環境に恵まれ、わりと寛容な空気感が流れている事だと思います。日本全国から、さらに海外からも学生が集まり、実に色々なバックグランドを持つ人達がいます。様々な個性や価値観が交差する環境のおかげで、時の流行に振り回される事なく、変に背伸びをする必要もなく、マイペースで"試行錯誤"や"七転び八起き" が出来ていたと思います。 当時は都市部の大学と比較して、刺激が少ない環境かも...と嘆く場面もありましたが、今思えば、十分、刺激的な日々でした。広大なキャンパスの中は探検ゾーンが沢山。
実習で何度か滞在した伊豆下田の臨海実験センター、菅平の高原実験所は忘れられぬ思い出が溢れるアドベンチャー・ゾーン。学生時代の最後を過ごした遺伝子実験センターや研究棟の光景は、当時は"迷宮のラビリンス"のようだと感じていましたが、今思えば"色々な可能性が秘められたトゥモロー・ランド"。日本有数の敷地面積を誇る広い学内、目を凝らせば、必ずどこかに居心地の良い場所がありました。涼しい木立や、眺めの良い池などで癒されたり、ひとときの現実逃避をしたり。
親元を離れての自活は自由である一方、「ガチ・サバイバル」のようだと必死だった日々は、振り返ると自分を育ててくれた貴重な数年間でした。


(3) 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

「大学での勉強、大学で教わる事は実社会に出てから役に立たない」。
ちょっと昔に卒業した大人達は、"訳知り顔"で そのように言いがちです。
私も在学中は「これは、何の役に立つのか?」と思いながら、微生物を培養し、涙目で遺伝子配列を読み、遠い目でフランス語の教科書を眺め、溜息まじりで体育の授業のためにプールに向かっていました。そして卒業後、私は学生時代には思いもしなかった職業に就きました。私の専攻選びは間違っていたのかな、とも思いました。
しかし、実際はそうでもなかったようです。メディアの世界では、学生時代の経験の多くが役立つのです。私も気が付いたら、アンデスのミイラを発掘して遺伝子配列から古代文明の謎解きする番組を作り、微生物やウィルスの知識があったおかげで、流行りの腸活から感染症の話題まで、専門家への突撃取材の際に恥をかかずに済みました。「たぶん縁が無い」と思っていたフランスにも数十回、出張する事になり、気が付いたら息子が競泳の道へ進み、オカンとして再びプールへ通っていました。支離滅裂に思えた学びも遊びも、意外と"未来"につながるようです。少年老いやすく、学成り難しですが、焦らず、慌てず、楽しんで下さい!