ALUMNI

石川 和洋氏

2021/06

石川 和洋(イシカワ カズヒロ)氏

2005年入学・2008年修了  ビジネス科学研究科

[現在の職業(勤務先・役職等)]

㈱日本貿易保険 常務執行役員

(1) 現在のお仕事を聞かせてください。

政府全額出資の特殊会社である日本貿易保険(NEXI)で総務部長(兼)人事部長を務めています。貿易保険という言葉にはあまりなじみのない人が多いと思いますが、本邦の企業が輸出や投資などの国際的な事業活動を行う際に直面するカントリーリスクなどへの対応に保険の提供を通じて支援を行うものです。ときどき当社に関する記事が新聞に掲載されることがありますので、ご覧になられたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
 会社での役割は総務部長(兼)人事部長ということで、実際に貿易保険の引受業務に関わることは少なくなっていますが、常務執行役員として会社全体の円滑な業務運営に目を配っていく立場にいます。


(2) 今改めて、筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

仕事を終えた平日の夜と休日の土曜、当時は秋葉原にあった筑波大学の法科大学院で3年間学びました。法曹の多様性の実現を目指して、働きながら学ぶことを前提とする、社会人を対象とした当時も数少ない特異な存在の法科大学院でした。僕はその第1期生でしたが、本当に多様な経歴と能力をもった人たちが集まっていました。
法科大学院の修了後、数年してから司法試験に合格しましたが、司法修習には行っていないので今でも弁護士の資格はありません。そして、合格後10年以上が経ちましたが、今も法科大学院に通っていたときと同じ会社で働き続けています。
法曹になりたいと思ったからこそ、働きながら夜間の法科大学院に通い、何度も司法試験を受けたのではないのか、と聞かれることがあります。今となっては、当時はそう思っていたかもしれません、としか答えられません。ただ、今の仕事を続ける限りは、法曹資格は必ずしも必要ではないから、今もそうしていないだけで、多様性の実現という筑波大学の法科大学院の設置の趣旨には沿っていたのだなとあらためて思っています。

(3) 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

僕が筑波大学の法科大学院で学んでいた頃は司法試験に予備試験という制度はなく、社会人が法曹資格を得ようとすると仕事を辞めて法科大学院に通う必要がありましたし、実際に多くの社会人がそのような選択を行いました。
 しかし、筑波大学の法科大学院は、そのような二者択一ではなく、「第三の道」、働きながら法曹の資格を得るという選択肢を与えてくれました。そのことは、その後の僕の考え方や生き方に対して、柔軟性と強靭性をもたらしてくれたように思います。
第1期生としても、当初に期待されていたような実績をなかなか挙げられず、学校としても苦しい時期があったことは容易に想像できます。しかし、今後も、様々な状況におかれた様々な人に対して、学ぶ機会の提供を続けていただき、社会の多様性の実現に取り組んでいただくことを期待します。



創基151年筑波大学開学50周年記念事業