社会・文化

リアルタイム弾幕感情が購買意欲や模倣行動と関連することを示唆

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(Image by T. Schneider/Shutterstock)
 中国の動画プラットフォーム「bilibili」の弾幕コメントを分析した結果、リアルタイムに表示される感情が視聴者の行動と関連することが示唆されました。肯定的な感情は購買意欲や、他者のコメントを真似る模倣行動とも強く関連しており、オンライン空間で感情の伝播が生じている可能性が確認されました。

 ソーシャルメディアの普及により、ユーザー間のリアルタイムな交流が可能になり、感情が人々の行動に与える影響はより速く、複雑になっています。しかし、特に動画配信と視聴者のコメントが同期する環境において、感情がどのように伝わり、視聴者の行動と関連するのか、その具体的な仕組みは十分に解明されていませんでした。

 本研究では、EASI理論(Emotions as Social Information:感情表出が社会的情報としての価値を持つ)に基づき、中国で人気の動画プラットフォーム「bilibili」上で配信された特定企業とのタイアップによる商品活用に関する単一動画に対する5万件以上の「弾幕コメント(動画再生中の画面上に視聴者のコメントがリアルタイムで流れる機能)」を分析しました。感情分析や統計モデルを用いて、視聴者の感情が個人の購買意欲や模倣行動(自己模倣・他者模倣)にどう関連するかを、個人的および対人的な側面から検証しました。

 分析の結果、コメント上の肯定的な感情が商品の購買意欲と関連することが確認されました。また、他者のコメントを模倣する行動が特定の場面で同期して発生する様子が観察され、これがリアルタイムな感情の伝播である可能性が示唆されました。一方で、同じ動画を繰り返し視聴する行為と感情の関連は薄いなど、行動の種類によって感情の関連性が異なるという新たな知見も得られました。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学ビジネスサイエンス系
吉田 光男 准教授
王 巧(オウ・コウ) リスク・レジリエンス工学学位プログラム(博士後期課程)2年次

掲載論文

【題名】
Dynamic analysis of barrage comments on sentimental influence and behavior
(弾幕コメントが示す感情影響と行動の動態解析)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
10.1038/s41598-025-12286-y

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