ALUMNI

船尾 修氏(TSUKUCOMM Vol.62より転載)

写真家 船尾 修氏

(写真家 船尾 修氏)

好きなことをとことん突き詰めて

写真家 船尾 修(ふなお おさむ)氏

-これまでのキャリアや生活において、筑波大学でよかったと思うこと

 生物学類を卒業してカメラマンになるって、話せば長いんですけど、子供の頃から昆虫が大好きで、小さい体でそれぞれが生きていることの不思議さに惹かれていました。生態学、いろんな生物が結びついていることに興味がありました。それで環境生物学を選んだんです。当時は遺伝子工学が花形で、環境系のコースのある大学はまだ珍しかったですね。のちに、アフリカの熱帯雨林に住むピグミー族と一緒に暮らしながら、最初の本格的なドキュメンタリー写真を撮りました。彼らはまさに地球の恵みの中で生きている、農耕もせず狩猟採集で暮らしている様子を見ているうちに、大学で学んだこととすごくつながっていることに気づいたんです。それで、自分の方向性を固めることができました。
 筑波大には当時、自然探検部というのがあって、そこに入って山登りを始めました。人がやっていないことをやろうという人たちが集まっていて、面白かったですね。あとは勉強よりもバイトばっかりでしたけど、卒業後も社会人の山岳会に入ってクライミングを極めようとしました。初めて海外の山に登ったのがアフリカのキリマンジャロ山。実はそれが、今の仕事のきっかけになったんです。

-学生時代の一番の思い出

 筑波大に入って初めて親元を離れて宿舎に住みました。毎日のように友達と行き来したり、一緒に食事を作ったり、とても楽しかったですね。筑波大には全国のあらゆる地域から学生が集まっていて、それも面白かった。少ないながらも留学生がいて、そういうこともすごく刺激になりました。
 あの頃はまだ海外に行くのは珍しくて、ヒマラヤとか行ってみたいとは思っていましたが、お金もないし、結局行けませんでした。漠然と、自分は外に出て何かができる気がしていたんです。今さらですけど、もし学生時代に海外に行って何かに出会っていたら、写真家ではない、別の可能性があったかもしれませんね。

-筑波大生に向けてのメッセージ

 あんまり参考にならない先輩かもしれませんが、大学にいる間は勉強だけにとらわれず、とにかく自分の好きなこと、面白いと思うことを、中途半端にせずとことん突き詰めて欲しいですね。それは一生続くわけでもありませんし、今ある興味でいいんです。理系を卒業したからといって理系の仕事に就く必要はありませんし、文系も同じです。カメラマンの仕事は、専門学校はありますが、あくまでも技術を教えてくれるだけで、何を撮るかは自分で突き詰めなければなりません。それが仕事に直接は結び付かなくても、必ず将来の役に立ちます。それだけは言えます!

PODCAST

インタビューのロングバージョンを、筑波大学Podcastでお聴きいただけます。



PROFILE  ふなお おさむ

船尾 修氏 写真

兵庫県出身
1984年 第二学群生物学類卒業
写真家

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