信濃川 日出雄さん(TSUKUCOMM Vol.65)
登山も、食も、漫画も、筑波大から始まった
漫画家
信濃川 日出雄(しなのがわ ひでお)さん
-これまでのキャリアや生活において、筑波大学でよかったと思うこと
グラフィックデザインを勉強しようと思って筑波大に来ましたが、大学でいろいろ学ぶ中で、デザインに込められたコミュニケーションを意識するようになりました。それで、漫画という媒体を通じて読者とコミュニケーションするのが楽しいと思ったんです。漫画自体は子供の頃から描いていましたが、大学3年の時、就活するようなつもりで、独学ながら本格的に描き始めて、現在は、2015年から開始した「山と食欲と私」という作品の連載を続けています。
この作品は、主人公の若い女性が、毎回、一人で山に登って、食事を作って食べる、というだけの話なんですけど、登山は学生時代の友人に誘われて始めた趣味ですし、自炊をはじめて料理をおぼえたのも学生時代。漫画には、当時の友達をネタにしたキャラクターもたくさん登場します。だから、その頃に培ったもので、なんとかここまでやってきたという感じがしています。
-学生時代の一番の思い出
1年の時、雑誌から切り抜きをして、その素材を使ってコラージュ作品を作るという初歩的な課題が出されたんです。でも19歳の青年にとっては、すごく気合が入りまして、B4サイズで提出するという条件で念押しされていたんですけど、絶対に目立ってやろうと、B1サイズで提出したんです。結局、そんなサイズで作ってきたのは自分だけで、担当教官からはすごく迷惑がられまして。でもちゃんとA評価を付けてくれました。作品として、そのサイズには必然性があると認めてくれたんですね。それがとても印象に残っています。この大学はこれでいいんだ、と思えました。自分としては非常にインパクトのあるものを作ったつもりだったので、これで低評価だったら、多分、こじらせていたでしょうね。
漫画の世界ってまさに、ページが多かったり、はみ出たりしていても、面白いものが勝ちです。そういう意味で、あの時評価してもらえたことは、本当にいい思い出です。
-筑波大生に向けてのメッセージ
筑波大ではのびのびと過ごして、いろいろ迷惑もかけたと思いますが、大目に見てもらったことに感謝しています。そんなふうに受け入れてくれる環境なんですよね。すごく独特で、孤高の存在のような感じもしますけど、そういうところに惹かれる人たちっていると思うんです。もっと言えば、都会よりも、雑音を排除して自分の世界に没頭して、何かを深めたいという人には向いているので、ぜひとも、この筑波大の環境を活用してほしいです。
PODCAST
インタビューのロングバージョンを、筑波大学Podcastでお聴きいただけます。
PROFILE しなのがわ ひでお
新潟県出身
2003年 芸術専門学群卒業
漫画家
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