生物・環境
繊毛が協調して波打つ仕組み ~ウニ胚運動を司る因子の解明~
筑波大学生命環境系 稲葉一男教授らの研究グループは、フランスCNRS・ビルフランシュ-シュル-メール臨海実験所との共同研究により、ウニ胚繊毛の協調運動に必要なタンパク質を特定しました。
ウニをはじめ、多くの水生無脊椎動物の胚には多数の繊毛が生えており、水中を自由に動き回ることができます。その際、胚は、密に生えた繊毛をドミノ倒しのように同一方向に順番に波打つことにより、前進することができます。研究グループは、ホヤの精子が卵に近づく走化性を司る因子として同グループが発見した「カラクシン」が、ウニ胚においては繊毛の協調的運動を司っていることを発見しました。本研究は、繊毛を持つ動物プランクトンの行動メカニズム解明の基礎的知見となります。また、水頭症や内臓逆位など、繊毛が関与するヒト疾患の原因解明の基礎的知見となることも期待されます。

図 (左)受精24時間後のウニ胚。(右上)正常胚では協調して繊毛が動いている。(右下)カラクシンが欠損すると繊毛はバラバラに動く。スケールバーは50μm(1μmは1mmの1/1000)。

図 (左)受精24時間後のウニ胚。(右上)正常胚では協調して繊毛が動いている。(右下)カラクシンが欠損すると繊毛はバラバラに動く。スケールバーは50μm(1μmは1mmの1/1000)。
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