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JAXA-NASA共同低重力ミッションが解き明かす、生体応答における重力依存性 ―将来の有人探査に向けた基盤データの構築―

研究イメージ画像
(©JAXA/NASA JPG-RR)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の利用成果最大化に向けた日米協力枠組み(Japan-U.S. Open Platform Partnership Program: JP-US OP3)のもと、JAXAが開発した微小重力から1Gまでの人工重力環境下でマウスを飼育できる世界で唯一の装置(可変人工重力研究システム:MARS(注1))を用い、ISS「きぼう」日本実験棟で低重力ミッションを米国航空宇宙局(NASA)と共同実施しました。

 JAXA、筑波大学、東北大学、ハーバード大学などからなる国際研究チームは、「きぼう」に搭載されたMARSを用い、マウスを4種類の重力環境(微小重力、火星重力相当の0.33G、火星と地球の中間の重力相当の0.67G、地球重力相当の1G)下で約1か月間飼育しました。本研究では、姿勢保持に重要な抗重力筋であるヒラメ筋を対象に、遺伝子発現などの分子レベルの変化に加え、筋力および筋電図を含む機能的変化を統合的に解析しました。その結果、微小重力下で生じる筋量の低下(萎縮)は、重力レベルに応じてほぼ直線的に変化することが明らかになり、筋機能を含めた筋量・機能の維持には少なくとも0.67Gが必要であることが示されました。

 さらに、血液中成分の網羅的解析から、血液指標についても重力に依存した変化が存在することが明らかとなり、重力環境の違いを反映する11種類のバイオマーカー候補を同定しました。これらの結果は、血液検査という低侵襲な手法を用いて、生体がどの程度の重力影響を受けているかを推定できる可能性を示唆しています。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系/トランスボーダー医学研究センター 宇宙医学部門 再生医学分野
藤田 諒 准教授

筑波大学医学医療系/トランスボーダー医学研究センター 宇宙医学部門 遺伝子改変マウス分野
高橋 智 教授

宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙技術部門 宇宙環境利用推進センター
芝 大 研究開発マネージャ

掲載論文

【題名】
0.33G Mitigates Muscle Atrophy While 0.67G Preserves Muscle Function and Myofiber Type Composition in Mice during Spaceflight.
(宇宙飛行に伴う筋萎縮は0.33Gで抑制されるが、筋機能の維持には0.67Gが求められる)
【掲載誌】
Science Advances
【DOI】
10.1126/sciadv.aed2258

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