生物・環境

細胞内で目的のタンパク質の量をありのままの姿で操る手法の開発に成功

(Image by Design_Cells/Shutterstock)

タンパク質は細胞内の重要な構成要素の一つであり、生体が機能を維持するために必要不可欠な役割を果たしています。タンパク質の発現や構造に異常が生じると、タンパク質が有する機能に破綻が生じ、疾病の発症につながることがあります。

基礎生物学や医学などの研究分野では、タンパク質の生体内での役割や機能を研究するために、目的とするタンパク質の細胞内の量を操る技術が頻繁に用いられます。本研究グループはこれまで、細胞内において目的とするタンパク質の量を低分子薬剤の添加により制御する技術を開発してきました。この技術は、遺伝子工学的手法を用い、目的とするタンパク質に、destabilizing domain (DD)と呼ばれる分子を恒久的に融合させることに基づいています。しかし、融合させたDDの存在が、目的とするタンパク質の機能や構造保持に影響を与える可能性が指摘されてきました。

本研究では、このDDを用いた技術に、細胞が元々有しているユビキチン鎖を切断する機構を組み合わせることにより、目的とするタンパク質の量を、余分なものが付加していないありのままの姿で制御する手法の開発に成功しました。

本手法は、従来技術では制御することができなかったタンパク質にも適用でき、基礎生物学のみでなく、遺伝子治療や細胞治療など医学への応用も期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学 生命環境系
宮前 友策 准教授

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