生物・環境

ウズベキスタンで新種の大型肉食恐竜を発見〜ティラノサウルスのなかまとの交代劇に新証拠〜

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 恐竜時代の最後(白亜紀最末期)に生態系ピラミッドの頂点に立った肉食恐竜、ティラノサウルス。実はこのグループ(ティラノサウロイディア類)が頂点捕食者になるまでには、長い道のりがありました。もともと小型種が多く、長い間、他の大型肉食恐竜に圧倒されていたのです。ティラノサウロイディア類が巨大化する前の陸上の支配者こそが、本研究の主役であるカルカロドントサウルス類です。


 カルカロドントサウルス類は全長が最大で13㍍にも達し、ジュラ紀の終わりから白亜紀にかけて生態系のトップに君臨していました。しかし、白亜紀半ばに北半球から姿を消し、それまで小型だったティラノサウロイディア類が捕食者の頂点に昇り詰めます。この交代劇は世界的に注目されているものの、化石記録が乏しく、研究は北米に限定されていました。


 本研究では、ウズベキスタン共和国の後期白亜紀(約9000万年前)の地層から見つかった恐竜の化石がカルカロドントサウルス類の新種であること突き止め、「ウルグベグサウルス・ウズベキスタネンシス」と命名しました。全長は7.5~8㍍にもなり、同国で見つかった肉食恐竜としては最大となります。この地層では、過去に小型のティラノサウロイディア類が見つかっているため、アジアで両グループが共存していたことを示す初めての証拠となったほか、この時代ではまだカルカロドントサウルス類がティラノサウロイディア類を圧倒していたことが分かりました。また、両グループの共存記録としては、世界で最も新しい時代のものとなります。


 今回の発見により、カルカロドントサウルス類は少なくとも9000万年前頃まで強力な捕食者として生態系のトップに君臨しており、ティラノサウロイディア類の多様化・巨大化はその後に起こったことが明らかになりました。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
田中 康平 助教

北海道大学総合博物館
小林 快次 教授


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