生物・環境

機械学習による培地最適化では学習データの相対値補正が重要

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(Image by emiridikut/Shutterstock)
 機械学習による細胞培養に用いる培地の最適化手法に関して、4つの異なるモデルにより検討し、市販培地よりも高い細胞濃度が得られる培地の作成に成功しました。また機械学習においては、学習データに対する相対値補正を行うことが、優れた結果をもたらすことが明らかになりました。

 細胞培養は、生命科学などの基礎研究から医療、エネルギー、素材開発など幅広い分野に利用される基盤技術です。細胞を培養する培地(さまざまな栄養成分で構成される溶液)は、培養結果の決定要因となるため、目的に応じた培地を選択することが不可欠です。近年、培地の最適化に機械学習が用いることで、従来の経験則に縛られず、より少ない労力で高性能な培地を開発する試みが注目されています。しかし具体的な報告事例は少なく、ノウハウが不足しています。そこで本研究では、機械学習を用いた培地開発を複数のモデルで実施し、培地最適化のポイントを探索しました。

 31種類の栄養成分をさまざまな濃度で組み合わせた培地で、ヒト子宮頸がん由来の細胞を培養して細胞濃度を測定し、得られた結果を学習データとして、4つの異なる機械学習モデルに適用しました。アクティブラーニング(機械学習と実験検証の繰り返し)を実施したところ、市販培地より細胞濃度が高くなる培地の作成に成功しました。また、機械学習においては、学習データに対する相対値補正を行うことが重要であることが明らかになりました。さらに、遺伝子発現解析により、培地最適化による細胞内遺伝子発現の調整メカニズムも明らかになりました。

 本研究成果は、人工知能を用いた培地開発に関する知見をもたらし、より効果的な活用方法を示すものです。これにより、細胞培養DX化を実現することができ、幅広い産業および学術研究に貢献すると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
應 蓓文 准教授

掲載論文

【題名】
A data-driven approach for cell culture medium optimization
(細胞培養培地最適化のためのデータ駆動型アプローチ)
【掲載誌】
Biochemical Engineering Journal
【DOI】
10.1016/j.bej.2024.109591

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