医療・健康

自然に近い眠りを誘う新たな不眠症治療薬の可能性 ~睡眠誘発物質アデノシンのシグナル伝達経路への新アプローチ~

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の斉藤毅助教、ムスタファ・コルクタタ(大学院生)、長瀬博教授、ミハエル・ラザルス准教授らの研究グループは、アデノシンA2A受容体からのシグナルを増強させる作用を持つ新規低分子化合物 A2AR PAM-1が、徐波睡眠の総量を増加させ、自然に近い眠りを促すことを示しました。

アデノシンは脳内で眠りを誘発する内因性物質として知られています。マウスやラットを用いた先行研究により、アデノシンA2A受容体作動薬の強力な催眠効果が示されていましたが、体温の低下や低血圧・頻脈等の循環器系の副作用が問題となっていました。そこで研究グループは、受容体のリガンド結合部位とは異なる部位(アロステリック部位)に作用してそのシグナルを増強する「ポシティブアロステリック調節因子(PAM; Positive Allosteric Modulator)」に着目しました。アデノシンA2A受容体のPAMとして同定した新規低分子化合物 A2AR PAM-1をマウスの腹腔内に投与したところ、体温や循環器系の副作用なく徐波睡眠を誘導しました。



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筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)

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