医療・健康

諦めにはシータ波が肝心〜磁気刺激で脳波リズムを制御し認知活動を変容させる〜

研究イメージ画像 (Image by Krakenimages.com/Shutterstock)


 人のウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)には、物事を正しく理解・判断し、適切に行動するための認知機能が高く保たれていることが重要です。認知機能を高める方法として、近年、電気や磁気の力を利用して間接的に脳を刺激することで脳活動を変化させる、非侵襲的脳刺激という技術が注目されています。この技術を使いこなすための鍵となるのが、人の認知活動を反映する脳波リズム(脳の周期的な電気活動)です。認知活動に関連する脳波リズムを変化させるように脳を刺激すると、関連する認知や行動の変容を起こせると考えられていますが、これを実証した研究は、これまであまり行われていませんでした。


 そこで本研究では、クイズを解くことを諦める時の脳波リズムを初めて特定し、その脳波リズムを非侵襲的脳刺激の一つである脳磁気刺激によって操作することで、脳波リズムと諦める時の行動がどのように変化するかを調べました。その結果、諦める時のプロセスには、前頭のシータ波という脳波リズムの増加が関係することが判明しました。さらに、脳磁気刺激によってシータ波が増加するように脳を刺激すると、諦めるまでの時間が早まることが明らかになりました。


 本研究成果は、脳波リズムを適切に操作することで、さまざまな認知や行動に変化を起こせる可能性を示唆しており、これを応用した認知機能を高める方法の開発につながることが期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
川崎 真弘 准教授
宮内 英里 研究員

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システム情報系


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