医療・健康

新規ミトコンドリア病モデルマウスの作製に成功〜基礎研究と創薬研究への応用に期待〜

研究イメージ画像 (Image by Explode/Shutterstock)

 ミトコンドリアは、細胞内のエネルギー工場として知られる細胞小器官です。生物の遺伝情報であるDNAのほとんどは細胞内の核に存在していますが、ミトコンドリアにも独自のゲノムであるミトコンドリアDNAが存在しています。このミトコンドリアDNAに突然変異が生じると、ミトコンドリア病と呼ばれる代謝性疾患の原因となることや、さらに最近では、糖尿病、がん、老化などの原因になる可能性が示唆されています。ミトコンドリア病の症例が報告されてから 50 年以上の年月が経ちますが、ミトコンドリアDNAに病原性変異を有するモデル動物の作出例はごくわずかしかありません。そのため、ミトコンドリア病やミトコンドリアDNAの突然変異が関与するとされるさまざまな疾患の発症機構の解明はもとより、治療法の探索や創薬開発は進んでいないのが現状です。


 本研究では、ミトコンドリアDNAの中のtRNALeu(UUR)遺伝子領域に病原性点突然変異を有するモデルマウスを、世界に先駆けて樹立することに成功しました。このモデルマウスでは、ミトコンドリア病の症例と類似した病態だけでなく、ミトコンドリアDNAの変異で生じるとされる糖尿病や肝機能障害が再現されていました。このようなモデルマウスは、ミトコンドリアDNA変異に関する研究に資する貴重な動物資源であり、将来的には、ミトコンドリア病や多様なミトコンドリア関連疾患の治療法の探索や治療薬開発に役立つことが期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学 生命環境系
中田 和人 教授

東北大学加齢医学研究所 モドミクス医学分野
谷 春菜 研究員(研究当時:筑波大学)

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生命環境系


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