医療・健康

COVID-19流行下で認知症介護施設で働く職員の心理的負担が増大している

研究イメージ画像 (Image by Rido/Shutterstock)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、認知症の人およびその医療や介護に携わる者に深刻な影響を及ぼしています。例えば、COVID-19流行により、認知症の人の、記憶障害をはじめとした認知機能障害や行動心理症状が悪化していることが報告されている他、認知症治療に携わる医療者の心理的負担の大きさもよく知られたところです。しかしながら、介護施設において認知症の人の介護に当たる施設職員のメンタルヘルスについては、よく分かっていませんでした。


 本研究では、COVID-19第2波、第3波にあった、2020年9月から2021年3月に、茨城県内の介護施設を対象とするウェブアンケートを実施し、職員の現況および不安やうつを呈する割合、そのリスク因子を調べました。その結果、介護施設職員全体の約半数が不安状態やうつ状態を呈していることが分かりました。また、そのうち特に、介護職とソーシャルワーカーは不安状態になるリスクが高く、認知症の人の家族介護者の様子に変化があった場合には、職種に関わらず、不安状態やうつ状態を呈するリスクが高いことが明らかになりました。


 本研究結果から、COVID-19流行下において、介護施設で働く職員は非常に強いストレスに曝されており、感染拡大が続く現状では、認知症介護者への継続的な支援が必要と考えられます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学 医学医療系
新井 哲明 教授

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