医療・健康

パートナーシップ証明制度と性的マイノリティの精神的健康との関連を調査

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(Image by Sabrina Bracher/Shutterstock)
 同性婚が合法化されていない日本では、各自治体が独自に同性カップルのパートナーシップ証明制度を導入しています。インターネットによる全国調査のデータを分析した結果、同制度のある自治体に居住することは、性的マイノリティの人々の精神的健康の向上とは関連していないことが示されました。

 性的マイノリティ(sexual gender minority; SGM)の人々は、スティグマ等の社会的なストレス因子により、シスジェンダー異性愛者(出生時に割り当てられた性別と自分で認識する性別が一致している人)より精神的健康の不調が多いという先行研究が海外にはあります。また、同性婚が合法化された国では、合法化により、SGMの人々の精神的健康が改善したと報告されています。一方、同性婚が合法化されていない日本では、自治体が独自にパートナーシップ証明制度を導入しています。これにより、法的承認の後ろ盾はないものの、同性カップルに社会的承認を与えることを目指しています。

 本研究では、2022年に行われた全国インターネット調査による18歳以上の横断データを用いて、パートナーシップ証明制度を導入している自治体に住んでいる場合と導入していない自治体に住んでいる場合で、SGMの人々の精神的健康が異なるかどうかを調べました。

 精神的健康の指標として、精神的苦痛および自己報告による希死念慮を用いました。その結果、SGMの人々はシスジェンダー異性愛者と比較して精神的苦痛、希死念慮ともに有意に多いことが示されました。また、SGMの人々において、背景要因および居住自治体の要因を調整した上で居住自治体のパートナーシップ証明制度の有無で比較したところ、精神的苦痛には差は認められませんでしたが、希死念慮は制度のある自治体に居住する者でより多くみられました。

 今回の研究により、日本でも海外の先行研究と同様に、SGMの人々では精神的健康の不調が多いことが示されました。一方で、自治体によるパートナーシップ証明制度の導入は精神的健康の向上とは関連していませんでした。日本のSGMの人々の精神的な負担を軽減するためには、パートナーシップ証明制度以外のさらなる広範な取り組みが必要であると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
宮脇 敦士 准教授

掲載論文

【題名】
Association Between Same-Sex Partnership Certificate Schemes and Mental Health in Sexual and Gender Minority Adults: Nationwide Cross-sectional Study in Japan.
(日本におけるパートナーシップ証明制度と性的マイノリティの精神的健康の関連)
【掲載誌】
BMJ open
【DOI】
10.1136/bmjopen-2025-106055

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