医療・健康
転職は頭痛や不眠の要因となりやすい

全国約2万人を対象にしたインターネット調査により、転職を経験した人は、頭痛や倦怠感、不眠といった症状を感じやすいことが分かりました。転職は心機一転のチャンスではありますが、心身のストレス要因にもなる可能性も指摘されており、働く人を支える仕組みの見直しが求められます。
転職はキャリアアップの手段として広く行われていますが、その健康への影響については、これまでほとんど注目されてきませんでした。本研究では、全国約2万人を対象にしたインターネット調査のデータを分析し、「転職」と「健康上の自覚症状」の関係を明らかにしました。
その結果、過去1年以内に転職した人は、していない人に比べて頭痛や倦怠感、不眠などの症状を訴える割合が高いことが分かりました。特に、「初めての転職」を経験した人では、この傾向が強く見られました。
その背景として、転職者は、深夜勤務の負担、職場でのハラスメント、過重労働などのストレス要因をより多く経験していることも明らかになりました。こうした状況は、身体的な不調やメンタルヘルスへの影響につながる可能性があります。
本研究結果は、転職がチャンスにもリスクにもなりうる現代において、転職がもたらす心理社会的なストレスを可視化し、働き方の支援体制を見直す必要性を示しています。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学附属病院 病院総合内科伊東 完 病院講師
掲載論文
- 【題名】
-
Job Change and Self-reported Symptoms: A Nationwide Longitudinal Study in Japan
(転職と自覚症状:日本全国縦断研究) - 【掲載誌】
- Journal of Occupational and Environmental Medicine
- 【DOI】
- 10.1097/JOM.0000000000003539