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軽症頭部外傷後の脳脊髄液の微細な動きを可視化し部位ごとの変化を検出

研究イメージ画像
(Image by Roman Samborskyi/Shutterstock)
 軽症頭部外傷後に、脳脊髄液の微細な動きが脳の部位ごとに異なる形で変化する可能性を示しました。特殊なMRI技術を用い、従来捉えにくかった脳脊髄液の微細な動きを非侵襲的に初めて評価しました。本手法は、外傷後の脳の状態や認知機能との関係を理解するための新しい知見を与えると期待されます。

 脳の中には脳脊髄液という液体があり、脳を守ったり、不要な老廃物を外に出したりする重要な役割を持っています。この液体は常にわずかに動いており、その動きが脳の健康に関係していると考えられています。しかし、特に軽い頭のケガ(軽症頭部外傷)の後に、この液体の動きがどのように変化するのかは、これまでほとんど分かっていませんでした。

 本研究では、「IVIM MRI(Intravoxel Incoherent Motion MRI、MRI拡散強調画像)」という特殊なMRI技術により、脳内の水分子の動きを利用して、脳脊髄液の微細な動きを調べました。その結果、頭部外傷の後には、脳の部位によって液体の動きが増える部分と減る部分があることが分かりました。特に、小脳の近くでは動きが大きくなる一方で、大脳の一部では動きが弱くなる傾向が見られました。さらに、一部の患者では、時間が経つにつれてこれらの変化が部分的に元に戻る様子も確認され、脳が回復する過程と関係している可能性が示されました。

 これまで見えなかった脳の中の液体の動きを捉えることができるようになったことで、将来的には、頭部外傷後の脳の状態や、認知機能の変化との関係が明らかになり、新しい診断や治療につながると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
渡邉 真哉 特任准教授

掲載論文

【題名】
Exploratory Assessment of Cerebrospinal Fluid-Related Microdynamics After Mild Traumatic Brain Injury Using Intravoxel Incoherent Motion Magnetic Resonance Imaging.
(IVIM MRIを用いた軽症頭部外傷後の脳脊髄液関連微細動態の探索的評価)
【掲載誌】
Frontiers in Neuroscience
【DOI】
10.3389/fnins.2026.1756207

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