医療・健康

神経変性疾患で脳に蓄積するタウ線維構造の安定化因子を発見

研究イメージ画像
(構造データ:PDB 10LN / EMDB EMD-75271 (https://www.rcsb.org/structure/10LN))
 アルツハイマー病などの神経変性疾患の患者脳に蓄積するタウ線維を解析し、一部のタウ線維では、線維を修飾するポリユビキチンの位置を変えると、骨格構造まで変化することを見いだしました。線維中心部の周囲にある修飾の位置が、疾患ごとに異なるタウ線維の構造安定化に関与すると考えられます。

 アルツハイマー病など、脳の神経細胞が徐々に障害される神経変性疾患では、タウというタンパク質が異常な線維を形成して脳内に蓄積します。タウ線維の中心部は規則正しい構造を持ち、その周囲はユビキチン(タンパク質の一種)などの分子で修飾されています。しかし、こうした線維中心部の周囲にある修飾が、タウ線維の構造の安定性にどのような影響を与えるかは十分に分かっていませんでした。

 本研究では、神経変性疾患であるアルツハイマー病、および、まれな遺伝性疾患である空胞性タウオパチーの患者の脳からタウ線維を抽出し、マウスへの投与実験とクライオ電子顕微鏡による構造解析を行いました。両疾患由来のタウ線維はマウス脳内で異なる病理の広がり方を示し、クライオ電子顕微鏡での解析によると、アルツハイマー病と空胞性タウオパチーでは異なるタウ線維構造が認められ、空胞性タウオパチーでは5種類の線維構造が確認されました。さらに、ポリユビキチンによる修飾の位置を変化させると、一部の線維では、線維内の2本の構成単位の接し方が変わり、新たな構造が生じました。

 これらの結果は、タウ線維の構造が線維中心部だけで決まるのではなく、その周囲の翻訳後修飾によっても影響を受ける可能性を示唆しており、疾患ごとに異なる線維構造の成り立ちや安定化に関与する要因を理解する手掛かりになると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学附属病院
渡辺 亮平 病院講師(研究当時:Translational Neuropathology Research Laboratory, Department of Pathology and Laboratory Medicine, Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania)

掲載論文

【題名】
Repositioning of polyubiquitin alters the pathologic tau filament structure
(ポリユビキチンの再配置が病的タウ線維構造を変化させる)
【掲載誌】
Nature Structural & Molecular Biology
【DOI】
10.1038/s41594-026-01879-4

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