医療・健康

瞬きが幼児の実行機能とその脳機構の発達を映し出す

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(Image by MIA Studio/Shutterstock)
 よく瞬き(まばたき)をする幼児ほど、ルールの切り替えに上手に対応することができ、脳の前頭前野の中でもこの課題の遂行に重要な右背外側部の活動が高いことを明らかにしました。このことは、瞬きが幼児期の実行機能の発達をうかがい知る手がかりとなる可能性を示しています。

 幼児期は、行動や思考、感情を制御する認知スキル「実行機能」が最も著しく発達する時期です。その個人差は、後の学業成績や社会性、さらには成人期の健康や社会的成功とも関わることが分かってきました。そのため、実行機能を支える脳機構の解明が重要な課題となっています。しかし、幼い子どもでは拘束性の高い計測や侵襲的な計測が難しく、その脳機構の成熟を捉える手立てはほとんどありません。

 そこで本研究チームは、私たちが意識せずに行っている瞬き(まばたき)に着目しました。瞬きの頻度(自発性瞬目率)は、ドーパミンをはじめとする神経修飾系の働きに影響を受ける可能性が注目されてきました。瞬きは生まれて間もない頃は極めて少ないのですが、乳児期から小学校に入る前にかけて数倍に増えるとともに、同じ時期に大きな個人差が現れます。ちょうど、実行機能が急速に発達する時期と重なります。

 本研究では、3〜6歳の幼児を対象に、ルール切り替え課題中の脳の前頭前野の活動を機能的近赤外分光分析法(fNIRS)で計測し、あわせてビデオ映像から自発性瞬目率を測定しました。その結果、瞬きの多い子どもは切り替えの成績が良いことが分かりました。また、瞬きと関連していたのは前頭前野の広範囲な活動ではなく、この課題の遂行に重要な右背外側部の活動に限られていました。年長の子どもほど、活動がこの部位に偏る傾向もみられ、必要な部位が選択的に働くようになる過程と、瞬きの増加とが結びついている可能性がうかがえます。瞬きは、特別な装置がなくても目視でおおよそ把握できるため、保育所や幼稚園、家庭といった日常の場面で実行機能の育ちをみる手がかりの一つとなることが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学体育系/ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)
桑水 隆多 助教

京都大学大学院文学研究科
森口 佑介 教授

掲載論文

【題名】
Emergent blink rate in early childhood is associated with neural origins of executive function
(幼児期に現れ始める瞬きの頻度は実行機能の神経起源と関連する)
【掲載誌】
Communications Psychology
【DOI】
10.1038/s44271-026-00524-6

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