医療・健康
アルコール代謝の体質に応じた情報提供後に自治体職員の飲酒リスク指標が低下
労働者の過剰飲酒は、健康悪化や労働生産性の低下につながります。本研究では、自治体職員に対してアルコール代謝遺伝子の検査結果と解説教材を提供したところ、飲酒リスクと一度に多く飲む頻度のスコアが低下しました。職場で取り組みやすい飲酒リスク対策となる可能性があります。
2024年2月に公表された国の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、遺伝子によって規定されるアルコール分解酵素の働きの強さが個人によって大きく異なり、飲酒の際はアルコール分解酵素の働きの強さを考慮すべきことが述べられています。
本研究チームはこれまでに、過剰なアルコール摂取者である20代の成人を対象に、参加者自身のアルコール代謝遺伝子ADH1B(1B型アルコール脱水素酵素)、ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の情報を元にした減酒指導を行うことで飲酒量が有意に減少することを確認してきました。一方、職場で取り組める飲酒対策には、実施に要する時間や人員の負担を抑えながら、一人一人の特性に応じた情報を届ける方法が求められています。
今回、20~60歳の自治体職員136人を対象に、唾液によるアルコール代謝遺伝子検査を実施しました。検査結果が得られた参加者127人に、本人の遺伝子タイプと、そのタイプに応じた飲酒時の注意点や健康リスクを記した教材を提供しました。提供前と約1カ月後の回答がそろった112人を解析した結果、主要評価項目である飲酒日1日当たりの平均飲酒量や、短時間の多量飲酒の回数には、有意な変化は認められませんでした。一方で、飲酒に伴うリスクを把握する質問票「AUDIT-C」の総得点が有意に低下しました。特に「一度に6ドリンク以上飲む頻度」の得点は、複数の質問を解析する際の統計的補正後も有意に低下しました。
これらは、個々人の体質に応じた情報提供が、職場における飲酒行動の一部を見直すきっかけとなる可能性を示す予備的な知見となります。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学医学医療系/健幸ライフスタイル開発研究センター吉本 尚 准教授
筑波大学体育系/健幸ライフスタイル開発研究センター
土橋 祥平 特任助教
掲載論文
- 【題名】
-
Genotype-based feedback on alcohol metabolism and its association with hazardous drinking among municipal employees: a pilot observational study
(自治体職員におけるアルコール代謝遺伝子型に基づく情報提供と危険な飲酒行動との関連:予備的観察研究) - 【掲載誌】
- Journal of Health, Population, and Nutrition
- 【DOI】
- 10.1186/s41043-026-01501-9
関連リンク
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健幸ライフスタイル開発研究センター