社会・文化

部分的な感染予防策では効果が低い? 〜コンピュータモデルによる新型コロナウイルス感染症に対する効果的な感染予防策の推定〜

国立大学法人筑波大学 ビジネスサイエンス系の倉橋節也教授は、新型コロナウイルスの感染プロセスを、エージェント・ベース・モデル(個人の行動が集団に与える影響を評価するコンピュータモデル)に実装し、一般の市民や企業、学校などにおいて、実施可能な予防策の有効性についての比較検討を行いました。このモデルでは、1120人の仮想的な住民が通勤通学および店舗等への訪問を行い、新型コロナウイルスの感染リスクに曝されている状態を模しています。これによるシミュレーションの結果、個々の感染予防策(時差通勤、テレワーク、学級閉鎖、接触率低減、発熱後自宅待機)を単独あるいは部分的に複合して実施しても、大きな効果は得られないことが明らかになりました。本研究成果は、このようなコンピュータモデルが、効果的な感染予防策の推定に有効であることを示唆しています。

シミュレーション実行画面例

図:シミュレーション実行画面例
青い点は両親と子供の四人家族、茶色の点は高齢者の二人家族を表しています。左端のピンクのエリアは商業施設、中央横長のカーキ色は通勤電車、右側のグレーのエリアは病院と遺体安置所をそれぞれ表しています。緑の点は潜伏期間中で感染力のない感染者、オレンジの点は潜伏期間中で感染力を持った感染者、赤い点は軽症の発症者、紫の点は重症患者、白い点は回復者を表しています。紫の矢印は誰が誰に感染させたのかのリンクを表しています。

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