テクノロジー・材料

避難時間の短縮効果から水害時の広域避難の効果と有効な自治体間の連携範囲を定量化

研究イメージ画像 (Image by Andrii Yalanskyio/Shutterstock)

 洪水の際の安全かつ効率的な避難方法を策定しておくことは、水害リスク軽減のための対策の一つです。また、自治体の境界を越えた広域避難の重要性も増しています。しかしながら、避難計画は自治体単位で立案されているため、広域避難は十分に考慮されておらず、効率的な避難計画の策定のためには、広域避難の効果と、そのための自治体間の連携範囲に関する検討が必要です。


 本研究では、全国の自治体を対象に、大規模洪水時における広域避難の効果を、自治体内に限った避難と比べた際の避難時間の短縮に着目して定量化し、広域避難のための効果的な空間的連携範囲を明らかにしました。その結果、① 広域避難の距離が自治体内避難より短い避難者は避難対象人口の24%を占めており、広域避難により全体の避難時間が14%短縮できること、② 広域避難に利用可能な避難経路が限られている場合、広域避難が避難時間を増す可能性があること、③ 避難経路について事前に知らせる必要であること、を明らかにしました。また、広域避難の効果と避難者数の関係についてコミュニティ検出を行い、有効な自治体間連携の範囲を示しました。


 本研究成果は、広域避難の効果を簡便な手法で定量的に示した上で、広域避難の必要性の高い自治体および自治体間の連携範囲を具体的に把握することが可能です。これにより、複数の自治体が連携した広域避難計画の策定に貢献できると期待されます。


PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
梅本 通孝 准教授
嚴 先鏞 助教

関連リンク

システム情報系


創基151年筑波大学開学50周年記念事業