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大規模なGPSデータから歩行者行動を指標化し、都市の特徴との関係を解明

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(Image by Yisar Andrianus/Shutterstock)
 駅周辺の歩行者の行動を大規模なGPSデータを用いて分析し、人数、滞在時間、移動距離を指標化した「歩行者行動指標」を開発しました。また、この指標を用いて、歩行者行動と都市空間のさまざまな要素(密度、多様性、デザイン、アクセシビリティ、距離など)の関係を解明しました。

 公共交通指向型開発(TOD,Transit Oriented Development)は、歩行や公共交通機関の利用を奨励することで持続可能な都市計画を実現する戦略として、広く採用されています。TODにおいては、歩行者の行動を評価する必要がありますが、例えば、鉄道駅周辺の歩行行動は、しばしば歩行者数で定量化されます。しかし、同じような歩行者数の地域でも、歩行距離や駅周辺で過ごす時間は異なる場合があり、適切な評価のためには、より包括的なアプローチが必要です。


 本研究では、東京都区部の駅周辺を対象に、大規模GPSデータに基づいて歩行者の行動を分析し、歩行者数、歩行距離、滞在時間をそれぞれ指標化した「歩行者行動指数(PMI, Pedestrian Movement Index)」を開発しました。また、歩行者が多い駅の周辺において、密度、多様性、デザイン、目的地アクセシビリティ、交通手段への距離、といった都市空間の要素とPMIとの関係を調べました。その結果、歩行者数、距離、滞在時間は、土地利用の多様性や道路の連結性などの特徴によって異なることが分かりました。


 本研究成果は、歩行者行動を理解するとともに、現在の都市環境の評価や、TODを考慮した都市計画の立案に寄与すると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
嚴 先鏞 准教授

東京大学大学院工学系研究科
金 洪稷 特任助教


掲載論文

【題名】
Pedestrian movement with large-scale GPS records and transit-oriented development attributes.
(大規模GPSデータに基づいた歩行者移動と公共交通指向型開発要素)
【掲載誌】
Sustainable Cities and Society
【DOI】
10.1016/j.scs.2024.105223

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