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完全反磁性を持つ導電性高分子の開発に成功

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 超伝導体の性質の一つとして知られる完全反磁性(物質に対する外部磁場を物質内部で排除する性質)をもつ導電性高分子ポリアニリンの合成に成功しました。通常、導電性高分子は弱く磁石に引き付けられる常磁性を有しますが、これと相反する性質である完全反磁性を示す導電性材料の開発は初めてです。

 導電性高分子は、導電性のみならず、多様な特性をもち、発光素子や電磁波の遮断材料、防錆材料などへの応用研究が行われてきました。その特性の一つに、常磁性(磁石に弱く引き付けられる性質)があります。

 本研究グループは、今までに、さまざまな導電性高分子の合成方法を開発してきました。今回、最も汎用的な導電性高分子の一つであるポリアニリンについて、硫酸鉄存在下で合成することにより、常磁性とは反対に、超伝導体の性質の一つとして知られる完全反磁性(外部磁場を物質内部で排除する性質)を持たせることに成功しました。

 このポリアニリンについて、超伝導量子干渉計(SQUID) 測定を行ったところ、100K(-173℃)付近から徐々に磁化率が負となり、24K(-249℃)以下で完全反磁性を示すことを確認しました。また有機半導体でもある導電性高分子は、通常、電気伝導度の温度依存性が高く、低温になるほど電気伝導性は低下(電気抵抗が上昇)しますが、本研究で得られたポリアニリンは、温度による大きな電気抵抗の変化は示しませんでした。一方、超低温域では電気伝導度は大幅に低下しました。

 今回発見したポリアニリンの完全反磁性は、従来の有機および無機導電性材料のいずれにも見られなかった性質です。通常の完全反磁性が生じるメカニズムとは異なる現象が生じている可能性があり、導電性高分子の新しい展開につながると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学数理物質系
後藤 博正 准教授

掲載論文

【題名】
Perfect diamagnetism of polyaniline
(ポリアニリンの完全反磁性)
【掲載誌】
Journal of Physical Chemistry
【DOI】
10.1021/acs.jpcb.4c05317

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