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植物オイル「リモネン」中での高効率不斉合成に成功

研究イメージ画像
(provided by Hiromasa Goto)
 医薬品などに用いられる分子には、鏡像異性体(互いに鏡像関係にある構造)が存在するものが多くあり、その生成を精密に制御する必要があります。本研究では、植物オイルとして知られるリモネンを反応溶媒に用いると、効率よく目的分子が得られ、副生成物も容易に除去できることを見いだしました。

 医薬品や化粧品などに用いられる分子には、鏡像異性体(右手と左手のように互いに鏡像関係にある構造の異性体)が存在するものが多くあります。そのため、こういった分子を合成(不斉合成)する際は、目的とする鏡像異性体の生成を精密に制御しなくてはなりません。このような不斉合成に使われる代表的な方法の一つが光延(みつのぶ)反応です。しかし、副生成物の除去が困難であるという課題がありました。

 本研究では、この光延反応の溶媒として、オレンジなどの柑橘類の果皮に含まれるオイルとして知られるリモネンを用いると、目的の生成物のみがリモネンに溶解し、高効率かつ容易に分離精製できることを見いだしました。この反応では、副生成物はリモネンに不溶であるため、反応が終了するまで化学平衡は生成物に傾き、副生成物は反応容器内に沈殿します。これにより効率的な反応と精製の簡便さが達成されました。

 リモネンはすでに、接着剤の溶剤や洗浄剤として活用されていますが、本研究のような反応溶媒としての用途に関する報告はこれまでになく、さらなる有効利用が期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学数理物質系
後藤 博正 准教授
徳嵩 葵 物性・分子工学サブプログラム(博士前期課程)2年次

掲載論文

【題名】
Mitsunobu reaction in limonene
【掲載誌】
Chemical Papers (Springer Nature)
【DOI】
10.1007/s11696-026-04745-1

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