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油・水・気泡を含む岩盤中を伝わる超音波の三つのモードを理論的に予測

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(Image by klyaksun/Shutterstock)
 地下深部の岩盤の隙間には重質油と水が共存しています。本研究では、超音波照射により水中で振動する気泡まで考慮した、岩盤中での超音波の伝わり方を表現する理論モデルを構築し、三種類の縦波が共存することや、重質油の粘弾性と気泡の振動が超音波の減衰を強く左右することを明らかにしました。

 地下深部の重質油(粘り気の強い原油)を回収する方法として、岩盤に超音波を照射する手法が注目されています。しかし、岩盤の隙間には重質油だけでなく水も共存しており、超音波の照射により水中の気泡が振動するため、油・水・気泡・岩骨格が混在する複雑な岩盤の中を超音波がどのように伝わり、どこでエネルギーを失うのかを統一的に記述する理論は確立されていませんでした。従来の理論では、油を粘性のみを持つ単純な流体とみなしたり、超音波よりはるかに低い周波数帯を前提としたりしているため、超音波領域における油の粘弾性や気泡振動の効果を十分に表現できません。

 本研究では、これまで低周波数帯を対象に発展してきた先行研究を拡張し、油の粘弾性、流体間に働く動的な毛管圧、超音波が及ぼす圧力変動を受けて振動する水中の気泡、の三つの要素を一つの方程式系に組み込んだ、超音波に適用できる理論モデルを構築し、超音波の伝わる速さと減衰の周波数特性を計算しました。その結果、岩盤中を伝わる超音波には、特性の異なる三種類の縦波、すなわち、最も速く伝わる波、流体と岩骨格の相対運動により強く減衰する波、そして流体界面の毛管現象に支配される最も遅い波、が共存することが明らかになりました。

 本成果により、岩盤中の超音波の振る舞いを周波数ごとに予測できる理論的基盤が整いました。低い周波数を岩盤の広域に届ける使い方と、高い周波数を局所的な界面・粘性の効果に生かす使い方を、目的に応じて使い分ける設計指針の構築につながると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
金川 哲也 准教授

福屋 智大 構造エネルギー工学学位プログラム(博士前期課程)(研究当時)

掲載論文

【題名】
Ultrasound propagation in multiphase porous media: A continuum-mechanical model for coupled effects of bubble dynamics and oil viscoelasticity
(多相多孔質媒質中の超音波伝播:気泡振動と油の粘弾性の連成効果に関する連続体力学モデル)
【掲載誌】
Physics of Fluids
【DOI】
10.1063/5.0323134

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