医療・健康

貪食細胞が細菌感染を感知する仕組みを解明

筑波大学医学医療系 渋谷 彰教授らの研究グループは、病原体を貪食する免疫細胞の感染局所への集積に重要な役割を担う免疫分子を発見し、そのメカニズムを世界に先駆けて解明しました。 感染した細菌から放出される菌体成分を感知した炎症性単球が、トル様受容体 (TLR4)とメア2(MAIR-II)と呼ばれる炎症性単球の細胞膜上に存在する分子を介して、炎症局所の血管の内壁に強固に接着し、感染局所に集積することを発見しました。また、TLR4やMAIR-IIを欠損させたマウスで、細菌の感染が進展しショックで死亡する敗血症注4を誘導すると、野生型マウスと比較し、およそ10倍も高率に死亡することを見いだしました。これらの結果は、これまで不明であった、病原体の感染を免疫細胞がコントロールしているするメカニズムの一端を、世界で初めて明らかにしたものです。

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図 炎症性単球細の胞膜上に存在するTLR4が、細菌から放出される菌体成分のエンドトキシン(LPS)を感知すると、MAIR-IIと結合する(1)。一方で、TLR4は特定の遺伝子発現を介してMAIR-IIを活性化し、最終的に接着分子であるVLA-4への信号が伝達され(2)、VLA-4が活性化される(3)。その結果、炎症性単球は血管内壁への接着が亢進し、血管壁を通過していく。

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