医療・健康

アクティブライフは脳に効く ―持久力が高いほど海馬が関連する記憶能が優れていることが判明―

筑波大学体育系 征矢英昭教授、諏訪部和也(大学院生)、米国カリフォルニア大学アーバイン校の Michael A. Yassa准教授(筑波大体育系教授)らの共同研究グループは、若くて健康な成人において、身体活動量が多くて持久力が高い人ほど、正確な記憶に不可欠な「パターン認識能力」(類似記憶の識別能力)が優れていることを発見しました。これまでの研究では、持久力が高い人ほど記憶能力が優れていることが明らかにされてきましたが、海馬の中でも歯状回と呼ばれる部位が担う、似たような出来事(記憶パターン)を区別する類似記憶の識別能力と体力との関係はこれまでほとんどわかっていませんでした。 持久力と記憶力という一見関係がなさそうな2つの能力が相関する背景には、習慣的に運動することで、海馬の歯状回で新たな神経細胞の産生が増加することが関与していると考えられてきました。そこで本研究では、海馬歯状回が担う類似記憶の識別能力に着目し、健常若齢成人75名を対象に身体活動量、持久力の生理学的指標である最大酸素摂取量との関係を横断的に調べました。その結果、身体活動量が多い人ほど持久力が高く、類似記憶の識別能力が優れていることが明らかになりました。



図 記憶テスト 覚える問題では、192枚の物体の写真を2秒間ずつ見せた。思い出す問題では、覚える問題で出題した物体と同一、類似、無関連いずれかの物体を計256枚提示し、参加者には全く同じか、似ているが全く同じではないか、初めて出てきた新しい物体か、の3択で回答させた。類似物体は類似度により3段階に分類した。

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