医療・健康

レム睡眠とカタプレキシー:筋脱力を起こす共通の神経回路を発見

p202101141400.jpg

レム睡眠中は、外眼筋や呼吸筋など一部の筋肉を除き、全身の抗重力筋は弛緩しています。また、過眠症の一つであるナルコレプシーに併発するカタプレキシーは、感情が高まると全身の筋肉から力が抜ける症状で、覚醒しているにもかかわらず、レム睡眠時と同様な筋脱力が発動して生じると考えられています。しかし、そのような現象を制御する神経回路は明らかになっていませんでした。


本研究では、マウスを用いた実験により、レム睡眠とカタプレキシーに共通する、筋脱力を駆動する神経回路を、初めて同定しました。まず、マウスの脳の延髄腹内側(VMM)という領域に、体性運動ニューロンのみに抑制性の信号の出力先を持ち、眼球運動を担う運動ニューロンには出力しないニューロン群が存在することを明らかにしました。これらのニューロン群への信号の入力源は、レム睡眠を制御する下背外側被蓋核(SLD)の興奮性ニューロンでした。また、この神経伝達回路を阻害したマウスでは、レム睡眠時の筋脱力が消失しました。同じ操作をナルコレプシーモデルマウスに行ったところ、カタプレキシーがほぼ消失しました。これより、レム睡眠とカタプレキシーの筋脱力が、SLD→VMM→運動ニューロンという共通の神経回路によって生じることが分かりました。


ナルコレプシーでは、情動によってこれらの回路が駆動されてカタプレキシーが生じ、一方、レム睡眠行動障害では、この回路が機能しないために、レム睡眠中に異常行動が生じると考えられます。本研究の成果は、これらの疾患に対する治療方法の開発につながることが期待されます。


PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
櫻井 武 教授

関連リンク

医学医療系
国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)