医療・健康

ランニングが快適気分と認知機能を高める脳機構を解明

研究イメージ画像 (Image by Pressmaster/Shutterstock)


 「人類は走るべく進化した」という進化論的仮説もあるほど、ランニングは我々人類にとって重要な運動形態です。現代でもランニングブームと言われるように、多くの老若男女がランニングを楽しんでいます。


 近年の研究で、運動が脳に作用し認知機能を高めることが明らかにされつつあります。しかし、その多くは実験室で運動負荷試験を行いやすいペダリング運動による知見でした。そのため、全身をリズミカルかつダイナミックに使うランニングがヒトの脳にどのような効果を及ぼすのか、その詳細な脳内機構は明らかになっていませんでした。


 本研究では、トレッドミルを用いて運動強度を厳密に規定し、10分間の中強度(ややきつめ)のランニングが前頭前野の司る認知機能に及ぼす影響とその脳機構を調べました。その結果、ランニングは快適気分と実行機能を評価する課題の成績を共に高め、脳内では両半球の前頭前野が活性化していることが初めて分かりました。これまでの知見を踏まえると、これは中強度のランニングに特異的な効果である可能性が示唆されます。


 パンデミックで活動制限を余儀なくされる中、一人でできる屋外運動としてランニングを始めた人も多いのではないでしょうか。短時間であっても、中強度のランニングが快適気分を誘発すると同時に、前頭前野の活動を促進し認知機能を高めることを確認した本研究成果は、ランニング愛好家が感じている効果を裏付け、運動の機会に恵まれない人がランニングを始める一助になることが期待されます。


PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学体育系/ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)
征矢 英昭 教授

関連リンク

体育系
ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)


創基151年筑波大学開学50周年記念事業