医療・健康
外国人児童に対する小学校での体育指導における工夫を調査
(Image by wavebreakmedia/Shutterstock)
佐藤 貴弘 教授
筑波大学大学院人間総合科学学術院
古田 映布(博士後期課程2年次)
近年、日本国内では外国人居住者数の増加が加速し、それに伴って日本語指導が必要な外国人児童生徒数も急激に増えています。そのため、学校教育においても、異文化理解や多文化共生を促進するインクルーシブな教育環境を保障することが求められています。一方、スポーツやフィジカルアクティビティを通じて、異文化理解や多文化共生の促進を図る研究が進んでおり、体育科教育の見直しも行われています。そこで本研究では、日本の公立小学校教師を対象に、日本語学習者である外国人児童(Japanese Language Learners; JLL児童)を含むクラスの体育指導の現状について調査しました。
JLL児童を含むクラスの体育指導の在り方を模索する公立小学校教師7名に対して、インタビュー調査を実施しました。その結果、教師はJLL児童を含めた指導への難しさを感じながらも、授業内での指導の工夫を試行錯誤し続け、体育授業におけるインクルーシブな教育環境づくりに努めていることが示されました。また、体育授業では、言語的な課題に加え、JLL児童の文化的な価値観や宗教的なバックグラウンドの違いが顕著に出やすいことから、これらを考慮した指導および評価の工夫が行われていました。このような取り組みが、JLL児童だけでなく、学習障害や知的障害のある児童を含む全ての児童にとってわかりやすい授業につながることが示唆されました。
今後は、外国人児童の文化的背景に対応した体育指導法の開発と、教員向け教育プログラムの開発に向けて研究を進めていきます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学体育系佐藤 貴弘 教授
筑波大学大学院人間総合科学学術院
古田 映布(博士後期課程2年次)