医療・健康
ダイヤモンド・プリンセス号隔離期間における乗船者の精神症状を分析〜多くは災害派遣精神医療チームの支援で改善〜
(ダイヤモンド・プリンセス号(2020年2月12日撮影))
太刀川 弘和 教授
広島大学大学院医系科学研究科
久保 達彦 教授
厚生労働省委託事業DPAT事務局
五明 佐也香 次長
野木 渡 局長
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が始まった2020年2月、横浜港停泊中のクルーズ船 ダイヤモンド・プリンセス号に対して、全国の災害派遣精神医療チーム(DPAT)が、隔離された乗客・乗員のメンタルヘルス問題への支援活動を行いました。しかしながら、感染症対策において、隔離された人々の精神状態をどのようにサポートするのが最善であるかは、明らかではありません。そこで本研究では、DPATが支援した乗客・乗員の精神症状と有効なケアについて、チームの日報システム(J-SPEED)データを用いて分析しました。
隔離期間中、乗客・乗員3711人のうち、206人に身体面の支援が、127人に精神的な面での支援が行われました。身体面の支援でも、災害ストレスに関連した症状は発熱の次に多くみられました。精神的支援を行った人に最も多かった精神症状は不安であり、検疫隔離状況に対する急性のストレス反応でした。また、女性と乗組員が最も頻繁にメンタルヘルスのサポートを必要とした一方、傾聴と助言からなる単回のカウンセリングによって、多くが改善しました。
本研究により、感染症のような災害が船のような特殊な環境で生じた場合、乗客・乗員の生命を守るためには、身体的な健康支援に加え、メンタルヘルスの支援が不可欠であることが明らかになりました。このような知見は、今後の検疫や船舶事故、精神的危機への対応に役立つと思われます。
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プレスリリース研究代表者
筑波大学医学医療系太刀川 弘和 教授
広島大学大学院医系科学研究科
久保 達彦 教授
厚生労働省委託事業DPAT事務局
五明 佐也香 次長
野木 渡 局長
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