社会・文化

コロナ禍で否定的ツイートが増加し、自己アピール欲が幸福感を低下させた

研究イメージ画像 (Image by Kaspars Grinvalds/Shutterstock)

 Twitter(ツイッター)上の社会的ネットワーク情報からユーザのパーソナリティを、また、言語統計情報と使用単語に関する言語情報からメンタルヘルス等を推定することができます。本研究チームはこれまでに、ツイッターを使用する大学生の社会的スキルとツイート数やそれにおける感情表現・トピックの種類と主観的幸福感との関係を検討し、ネガティブ表現をあまり使用しない人ほど幸福感が高いこと、社会的な出来事や個人の趣味等のトピックはユーザの幸福感と正の相関関係があったのに対して、政治や社会問題等の議論の余地があるトピックとは負の相関関係があったことを明らかにしています。


 これらの知見を踏まえ、本研究では、ツイッターを使用する日本の大学生を対象に、コロナ禍において、一般的信頼感や自己意識、自己呈示欲等の個人特性、オンラインコミュニケーションスキルがユーザの幸福感に及ぼす影響を調査しました。その回答者について、公開された2019年1月~2021年6月のツイート等を自然言語処理で分析しました。利用している各種SNS(ネット交流サービス)の種類に応じて分類し、学年ごとに比較・分析した結果、コロナ禍では、ツイート・リツイート数が増加し、ポジティブ文の割合は調査期間中全体でやや減少し、ネガティブ文の割合はやや増加していたことが分かりました。また、他のSNSと併用する人に比べて、ツイッターのみを使用する人の幸福感が最も低く、とりわけ自己呈示欲が幸福感の低下要因の一つであることが明らかになりました。



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プレスリリース

研究代表者

筑波大学図書館情報メディア系
叶 少瑜 准教授

掲載論文

【題名】
Relationship between university students' emotional expression on tweets and subjective well-being: Considering the effects of their self-presentation and online communication skills
(大学生のツイートにおける感情表現と主観的幸福感の関係:自己呈示欲とオンラインコミュニケーションスキルの効果を考慮して)
【掲載誌】
BMC Public Health
【DOI】
10.1186/s12889-023-15485-2

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