ALUMNI

井上 茂義氏

2015/07

井上 茂義(イノウエ シゲヨシ)氏

1999 年入学・2003 年卒業,筑波大学第一学群自然学類化学専攻

2003 年入学・2008 年卒業,筑波大学大学院数理物質科学研究科(一貫制博士課程)化学専攻

Technische Universitat Berlin, Institut fur Chemie, Anorganische Chemie

Sofja Kovalevskaja Professor

① 現在のお仕事を聞かせてください。

筑波大学を修了後,渡独して日本学術振興会海外特別研究員及びフンボルト財団研究員としてベルリン工科大学で研究に従事しました。2010年にフンボルト財団のソフィアコバレフスカヤ賞を受賞し,165万ユーロ(約2億3000万円)の研究費を獲得しPIとして研究室を立ち上げることに成功しました。その後,独自の研究業績が認められ,2014年にはヨーロッパ研究評議会(ERC)より150万ユーロ(約2億1000万円)の研究費を獲得しました。当研究室では,ケイ素,ホウ素,アルミニウム,リンなど様々な典型元素の本質の理解を目的とし,これまでに合成例の無い有機典型元素化合物群の創製を目指した研究を行っています。また,その合成した化合物を用いた応用研究にも取り組んでおり,具体的には触媒反応等への展開を行っています。一方,ドイツでの研究生活を通じて,日本では巡り会えないような多くの人と繋がりを持つ機会にも恵まれました。例えば,2011年にChristian Wulffドイツ大統領(当時)が日独150周年記念で日本への訪問の際,ドイツ政府より招待され随員として同行しました。その際に母校である筑波大学も訪れました。さらに2015年にはAngela Merkelドイツ首相が7年ぶりに訪日する際に,ドイツ政府より招待されドイツ首相官邸にて首相と対談し,その対談の様子はドイツ政府公式HPにて公開されました。

ドイツ首相と

ドイツ首相Angela Merkelと

ドイツ大統領Christian Wulffと。

ドイツ大統領Christian Wulffと

② 今改めて,筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

総合大学として様々な学類があり,多様な友人ができたことは良かったと思います。また,研究学園都市としての名の通り研究施設が整っており,地理的に都心から少し離れた場所にあるので研究に集中できる環境であったことは良かったです。さらに,私が学生時代に学んだ自然学類においても非常にアクティブに研究されている先生方が多かったことが,その後の研究者としての自分の進路に非常に影響を受けました。特に,大学院生時代に研究に没頭していた時期に学んだ知識や考え方などは現在の自分の研究方針の基礎となっています。

フンボルト財団プレジデントHelmut Schwarz(左)、ドイツ連邦研究教育大臣Annette Schavan(右)と。

フンボルト財団プレジデントHelmut Schwarz(左)、ドイツ連邦研究教育大臣Annette Schavan(右)と

③ 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

学生時代という非常に多感で重要な時期に何をして,何を感じ,何を考えて,どう過ごしたかで,今後の人生が大きく変わっていくと思います。しかし,一度しかない学生生活なので,まずは学業でも,サークルでも,部活でも,アルバイトでも思いきり楽しんで欲しいと思います。また,自分の経験上,人との繋がりは日本にいても海外にいても不偏であり非常に重要だと感じます。その時々に出会う人との繋がりを大事にしながら,若いうちは守りに入らず自分の信じる道を真っ直ぐに失敗を恐れずに進んで行って欲しいと思います。

ベルリン工科大学にて研究室のメンバーと(201507)

ベルリン工科大学にて研究室のメンバーと




関連リンク

創基151年筑波大学開学50周年記念事業