医療・健康

アレルギー性鼻炎の症状・服薬状況を手軽に記録するアプリ公開~症状の可視化とより良い治療法の提案目指して〜

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アレルギー性鼻炎は国民の約4割が発症している国民病です。アレルギー性鼻炎の原因となるアレルゲンには、花粉のほかにも家のホコリやダニ、犬や猫の毛などさまざまなものがあります。命にかかわることがあまりないため、定期的に通院して治療を受けている患者さんは少ないと考えられます。しかし、アレルギー症状の程度によっては生活の質や労働生産性の低下を招きます。患者さんの数もとても多く、医療経済的損失は世界的にも大きな問題となっています。


症状の適切なコントロールのためには、患者さんの日常的な症状や薬の使用状況を記録し、医療者とのコミュニケーションの改善を図ることが重要です。従来は、症状日記として患者さんに紙で記録してもらうことが行われてきましたが、利便性を欠くなどの課題がありました。


そこで本研究では、アレルギー性鼻炎患者さんを対象に症状と薬の使用状況を手軽に記録する無料アプリ「アレルギー性鼻炎レコード」を開発・公開することにしました。アプリを通じて医療者とのコミュニケーション改善を図るとともに、アレルギー性鼻炎に関連するデータの集積と解析を行います。


アプリでは利用初回に、アレルギー性鼻炎の症状や服用中の薬などについて回答してもらいます。病院でもらう薬だけでなく、市販薬も登録できるようになっています。その後は、日々のアレルギー症状と薬の使用状況について記録していきます。入力は1日1回、2~3分で済みます。入力内容は、症状の変化が見やすいようにグラフ化するなどし、PDF形式でメール送信することができます。これにより、それらの情報を医師と共有したり、患者自身がどんな時期に調子が悪いのか、どんな薬を過去に使用していたのかを振り返ったりすることができます。


また、このアプリでは、利用者の同意を得て情報を収集します。個人を特定できるような情報は収集しません。全国的、経時的にアレルギー性鼻炎に関連する症状や服薬状況を収集・解析することにより、アレルギー性鼻炎のより良い治療法の提案につなげていきたいと考えています。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
野口 恵美子 教授

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