社会・文化

英文の読みやすさの指標から読解に要する労力を予測~読解中の視線計測を活用して~

研究イメージ画像 (Image by HQuality/Shutterstock)

 学習者が読む文章の難易度(読みやすさ)をどのように評価するかは、言語教育における重要な課題であり、特に英語で書かれた文章に対してはこれまでにさまざまな評価方法(指標)が提案されています。本研究では、読解中の視線情報をもとに、英語学習者がどの程度文章の読解に労力を割いているかを計測し、それが既存の指標によって予測可能であるかを検証しました。


 日本語を母語とする英語学習者およびオランダ語を母語とする英語学習者が英文を読解した際の視線データ(注視時間、視線移動の距離、読み戻り、読み飛ばし)を使用し、複数の読みやすさの指標によってこれらのデータの予測を試みました。ここで、読みやすさの指標には、単語と文の長さに基づく伝統的な指標と、コンピューター技術により多様な言語的特徴を評価する新たな指標の二つのタイプを使用しました。


 その結果、既存の読みやすさの指標は、読解中の視線パターン(処理労力)をある程度予測することが分かりました。また、伝統的な指標よりも、コンピューター技術を活用した新たな指標の方が予測に優れるケースが複数確認されました。一方で、これらの指標では、得られた視線データ全てを予測することができない、データに対する予測力が十分ではないなど、読解中の処理労力を観点とした英文の読みやすさの評価には、新たな指標の必要性も指摘されました。 英文読解中の視線パターンに基づく処理労力を正確に予測する方法を明らかにすることで、英語教材の選定や開発、英語学習者の認知メカニズムや読解指導に対する示唆が得られると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学人間系
名畑目 真吾 助教

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