社会・文化

日本のダイバーシティ推進にはオーセンティック・リーダーシップが有効

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(Image by Andrey_Popov/Shutterstock)
 ダイバーシティ推進は喫緊の課題ですが、同質性の高い組織では必ずしも有効ではないことも知られています。本研究では、日本の企業組織において、認知ダイバーシティがマイナスの影響を及ぼす一方、オーセンティック・リーダーシップはプラスの影響をもたらすことを明らかにしました。

 企業組織におけるダイバーシティ推進において重要なのは、性別、年齢、国籍など属性のダイバーシティよりむしろ、一人ひとりの多様な知識、スキル、視点や価値観など、認知ダイバーシティと呼ばれる目に見えない多様性です。これらをチームメンバーが積極的に表明し、お互いに交換、議論してチームにとって最適なかたちに統合していく「情報精緻化」というチームプロセスが、創造性やイノベーションの創出を促し、チームのパフォーマンスにつながるとされています。

 これまで、同質性の高い社会的・文化的背景を持つ組織では、認知ダイバーシティがかえってマイナスの影響を及ぼす可能性が示唆される一方、チームプロセスにおいては「オーセンティック・リーダーシップ」と呼ばれるリーダーシップの在り方が注目されています。これは、自分らしさを大切にして自己成長を図りつつチームの状況や文脈に応じて最善を目指すリーダーの行動パターンです。

 本研究では、同質性の高い日本の企業組織において、情報精緻化に対して認知ダイバーシティがマイナスの影響を及ぼす一方、オーセンティック・リーダーシップは、社会的・文化的文脈に関わらず、プラスの影響をもたらすことを明らかにしました。

 この結果は、ダイバーシティ推進を実践する企業組織にとっての行動指針を示唆しています。今後、より具体的な行動変革の進め方を提供できるような介入研究の端緒となることが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学人間系
藤 桂 准教授

掲載論文

【題名】
The Positive Role of Authentic Leadership in Organizations Negatively Affected by Cognitive Diversity
(認知ダイバーシティがネガティブな効果を及ぼす組織におけるオーセンティック・リーダーシップのポジティブな役割)
【掲載誌】
Frontiers in Psychology
【DOI】
10.3389/fpsyg.2024.1276585


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