連携大学院方式とは
連携大学院方式とは、研究機関の研究者を大学の教授・准教授として迎え、その機関の研究環境を活用しながら研究指導等を行う、大学院教育の方式です。
先進各国では、知識創造の中核的な担い手である研究者の養成が最重要課題とされています。科学技術の急速な発展と高度化に伴い、研究分野の細分化、専門化が進む一方、従来の学問領域を越えた新しい境界領域が開拓され、学際的な研究が推進されるようになりました。
特に基礎から応用分野に関わる広い範囲の知識を必要とする学際研究では、専門分野を異にする研究者間の協力が重要となっており、また、これに対応する学際融合的な新しい型の研究者育成が強く求められています。
このような学問的・社会的要請に応えるため、筑波研究学園都市などにある国立・独立行政法人(国立研究開発法人を含む)・民間企業等の研究機関と筑波大学とで連携を図り、各研究機関の研究者を本学の教員として迎えるとともに、最新の研究設備と機能を有する当該研究機関の優れた環境のもとで本学学生の研究指導を行うのが、連携大学院方式の教育です。
現在では、31の研究機関と連携し、教授136名、准教授68名という規模で実施されています。
連携大学院方式には、以下の2種類があります。
■第一号連携大学院方式本学大学院の研究群に、研究機関の研究者が、大学の教員(連携教員)となって参画し、その研究機関の最新の設備を活用して本学学生の研究指導を行います。指導にあたっては、本学の当該研究群の専任教員から副指導教員を配置し、連携教員に協力して修学指導や学生生活支援を行います。なお、修了に必要な授業科目は、原則として本学で履修します。
■第二号連携大学院方式
平成16年度からスタートした、新しい連携大学院方式です。
研究機関の研究者を大学の教員(連携教員)として迎え、その連携教員のみで構成する教育課程を編成し、連携大学院方式の教育を行うものです。その教育課程はサブプログラムとして本学大学院の研究群・学位プログラムの下に置かれ、指導にあたっては、当該研究群の専任教員が、協力教員として修学指導や学生生活支援に協力します。 学生は、当該学位プログラムに在籍し、最新の設備と機能を有する研究機関でその分野の最先端レベルの研究指導等を受け、必要な授業科目を原則として本学で履修することになります。
現在、この方式に則ったサブプログラムは、以下のとおりです。
数理物質科学研究群
応用理工学学位プログラム(博士後期課程)
NIMS連係物質・材料工学サブプログラム
連携機関名:国立研究開発法人物質・材料研究機構
生命地球科学研究群
農学学位プログラム(博士後期課程)
NARO連係先端農業技術科学サブプログラム
連携機関名:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
協働大学院方式とは
30年以上の歴史を持つ連携大学院方式に加えて、平成27年度には新たに「協働大学院方式」を構築・開始しました。
協働大学院方式とは、国立・独立行政法人(国立研究開発法人を含む)・民間企業等の研究機関と本学の連携による教育研究プラットフォームを創出するための、本学独自の大学院方式です。研究機関と本学が協力してコンソーシアムを形成し、それを母体として学位プログラムを運営することにより、産学官協働による人材育成の場を実現することを狙いとしています。
社会で必要とされる科学技術イノベーションを推進する人材を育成するためには、産学官の各機関が、自らが必要と考える人材を大学と協働して育成していくシステムが重要であることから、この協働大学院方式を導入しました。
連携大学院方式が基本的には大学と研究機関の一対一の連携方式であるのに対して、協働大学院方式は、コンソーシアムに参画する複数の研究機関と本学が人材養成上の目的を共有して、教育内容や指導体制を協議し、協働して大学院の教育・研究指導に当たるところに特徴があります。
令和5年度現在、協働大学院方式により3つの学位プログラムを運営しており、今後、拡充を図っていく予定です。
現在、この方式に則ったサブプログラムは、以下のとおりです。
システム情報工学研究群
リスクレジリエンス工学学位プログラム(博士前期課程/博士後期課程)
生命地球科学研究群/システム情報工学研究群/人間総合科学研究群
ライフイノベーション学位プログラム(博士前期課程/博士後期課程)
数理物質科学研究群
連携大学院 連携一覧 【 研究群別 】
前:博士前期課程、後:博士後期課程、3年制:3年制博士課程(後期相当)、 医:医学の課程(4年制)
(令和5年度5月1日現在)
数理物質科学研究群
物理学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
先進学際物理学、核融合・プラズマ、物質物理フロンティア・ナノサイエンス
化学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
高圧有機化学、機能性高分子化学、表面電気化学、光機能性材料化学、有機金属化学、材料無機化学、有機エレクトロニクス化学、機能性高分子ゲル化学
応用理工学学位プログラム(前・後) 電子・物理工学サブプログラム
連携研究機関
主な研究分野
半導体エレクトロニクス、光・電子素子、パワーエレクトロニクス、表面科学
応用理工学学位プログラム(前・後) 物性・分子工学サブプログラム
連携研究機関
主な研究分野
物質化学・バイオ
応用理工学学位プログラム(後) NIMS連係物質・材料工学サブプログラム
連携研究機関
主な研究分野
金属・セラミック材料工学、ナノ材料工学、有機・生体材料工学、物理工学、半導体材料工学
システム情報工学研究群
社会工学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
住宅・国土交通、都市計画、環境政策、環境リモートセンシング、情報技術
サービス工学学位プログラム(前)
連携研究機関
主な研究分野
情報技術
情報理工学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
知能・情報工学、計算機工学、数理情報工学
知能機能システム学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
知能システム、人間拡張工学、情報技術、人口知能
構造エネルギー工学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
エネルギー工学、次世代二次電池の開発、プラズマ理工学、構造材料・材料工学、河川生態工学・水災害リスクマネージメント、宇宙工学
生命地球科学研究群
生物学学位プログラム(前・後)
生物学・山岳科学学位プログラム(前)
連携研究機関
主な研究分野
植物分子生物学、微生物代謝生化学、環境性微生物生態学、菌類学、海棲哺乳類学・比較解剖学・獣医病理学、哺乳類遺伝学、分子寄生虫学、神経細胞学、森林生態学、環境藻類学、海洋生態学
生物資源科学学位プログラム(前)
山岳科学学位プログラム(前)
農学学位プログラム(後)
連携研究機関
主な研究分野
食品品質評価工学、国際生物資源循環学、国際農林業開発学、地域森林資源開発学、農村環境整備学、生物圏情報計測制御学、植物環境応答学、熱帯林業科学、動物生産機能学、植生・気候変動影響学
農学学位プログラム(後)
NARO連係先端農業技術科学サブプログラム
連携研究機関
主な研究分野
革新的生産品質管理システム、革新的家畜生産システム、革新的育種栽培生理システム
生物資源科学学位プログラム(前)
生命農学学位プログラム(後)
連携研究機関
主な研究分野
複合生物系利用工学、共生進化生物学、機能性神経素子工学、動物リソース工学、食品分子認識工学
生物学学位プログラム、生物資源科学学位プログラム(前)
生命産業科学学位プログラム(後)
連携研究機関
主な研究分野
(遺伝資源産業科学)
地球科学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
水災害科学、海洋大気相互システム、地球史解析科学
環境科学学位プログラム(前)
環境学学位プログラム(後)
連携研究機関
主な研究分野
地域環境保健学、地域大気汚染学
人間総合科学研究群
心理学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
心理学と認知支援工学、臨床心理学、認知行動療法、精神医学
ニューロサイエンス学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
感性人間工学、脳型情報処理機構学
スポーツウエルネス学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
スポーツウエルネス
デザイン学学位プログラム(前・後)
連携研究機関
主な研究分野
感性人間工学、建築デザイン
パブリックヘルス学位プログラム(3年制)
連携研究機関
主な研究分野
生活環境学、生涯健康学、疫学・統計学
スポーツ医学学位プログラム(3年制)
連携研究機関
主な研究分野
スポーツトランスレーショナル
医学学位プログラム(医)
連携研究機関
- 理化学研究所
- 国立国際医療研究センター研究所
- 国立感染症研究所
- 東京都医学総合研究所
- アステラス製薬株式会社
- 産業技術総合研究所
- エーザイ株式会社筑波研究所
- 物質・材料研究機構
- 国立がん研究センター東病院
- 医薬品医療機器総合機構
主な研究分野
ゲノム機能学、国際医療学、ウイルス感染症学、蛋白質代謝学、分子情報医学、生体分子機能学、分子創薬学、生体材料・再生医工学、臨床腫瘍学、医薬品・医療機器審査科学