本学芸術系が管理する600点を超える「筑波大学アート・コレクション(UTAC=University of Tsukuba Art Collection)の中核をなす「石井コレクション」は、株式会社図書館流通センター代表取締役、石井昭氏より寄贈された近世・近代陶磁と近代絵画およそ200点からなります。 2005年から2010年に本学が受贈した石井コレクションは、大学会館内の筑波大学ギャラリー内の特別室で常設展示されているほか、同じ建物内にあるアートスペースでの特集展示や、国内外のミュージアムが企画する大小さまざまな展覧会への出品要請に応えることをとおして、その質の高さをひろく示してきています。 また本学芸術系では、このすぐれたコレクションを芸術的学術資源ととらえ、それをもとにした研究教育事業として公開研究会やワークショップなどを企画開催してきました。一連の成果は、叢書「石井コレクション研究」にまとめられ、今年度は7冊目が刊行される予定です。 このたびの特集展示「紙上の至高なるもの.第2章--清宮質文+駒井哲郎」は、2013年に開催した展覧会「紙上の至高なるもの」の後を継ぐ企画です。静謐な詩的世界を表現したふたりの版画家、清宮質文と駒井哲郎による石井コレクション作品にくわえ、本学で版画制作研究にとり組む芸術系教授、田島直樹と大学院在籍の佐野広章による作品も展示することで、版表現の豊かな創造性と至高性を明らかにします。 さらに、会期中6月22日に開催される「レクチャー&トーク・セッション」では、美術史と版画制作研究の視座により、清宮と駒井の表現世界の核心に迫ります。 (企画・構成:寺門臨太郎=芸術系准教授)