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附属聴覚特別支援学校創立150周年記念式典を開催
筑波大学附属聴覚特別支援学校は、令和7年(2025年)5月22日に創立150周年を迎えました。
この日、千葉県市川市にある特別支援学校内で記念式典が挙行され、秋篠宮皇嗣妃殿下のご臨席を賜り、文部科学省からは金城 泰邦 大臣政務官にお越しいただきました。
附属聴覚特別支援学校は、明治8年(1875年)5月22日、古川 正雄、津田 仙ら6名が「楽善会」主体となって、盲者の教育を計画したところから始まります。その後、山尾 庸三が加わり、聾者の教育に発展させ、本校の前身である訓盲院で、盲生だけでなく、聾生も学ぶことになりました。今回の記念式典は、この「楽善会」結成の日(5月22日)にちなんで開かれたものです。
まず、式辞を述べた伊藤 僚幸 校長は、参列者への謝意を述べた上で、特別支援学校の歴史に触れながら、筑波大学の前身である東京高等師範学校の校長も務めた嘉納 治五郎(1860-1938)の言葉である"精力善用、自他共栄"を引用し、次のように語りました。
「今ここにいる皆さんは150年という長い歴史の中で、大変おめでたい年に在籍している生徒となります。今日はこの幸運を皆さんとともに分かち合いたいと思います。」
「本校の卒業生は、国内外で活躍しています。まさしく、精力善用、自他共栄を実践しています。このことを理解して、自身の将来に役立ててほしいと考えています。」

秋篠宮皇嗣妃殿下は、これまでに聴覚特別支援学校へ視察にいらした際の思い出も交えてお話しになり、全編にわたって手話でのおことばとなりました。
「(訪問するたびに)子どもたちが学びを深め、考える力、感じる力を伸ばし、一緒に課題に取り組み、気づきや発見、「わかる」という経験を重ね、自分の世界を広げている姿にふれることができました。」
「これからも、興味を持っていること、好きなことを深め、広げ、自分らしい道を歩んで行かれますよう希望しています。」

また、文部科学省の金城 泰邦 大臣政務官からも祝辞をいただいています。
「日本で唯一の国立の聴覚特別支援学校として、グローバル人材の育成にも注力していることなど、多大な貢献をしてきたことに、敬意を表します。」

式典には附属聴覚特別支援学校の国際交流協定校となっている、世界最古の聾学校でもある国立パリ聾学校と、国立ソウル聾学校の校長もご出席されました。こうしたグローバルな交流に触れつつ、筑波大学 永田 恭介 学長は次のような祝辞を述べています。
「あるべき未来を自らが描き、夢をもって進んでいただきたい。みなさんは(先輩たちが築いた)レガシーを大切にしつつ、新たなことにチャレンジすること、それぞれの個性を尊重しながら、切磋琢磨してほしいです。」

附属聴覚特別支援学校を支援いただいている方々に、感謝を伝える舞台でもある式典。 最後は生徒会長の次のようなことばで結びました。
「私たちが生きていくのは未来です。社会の変化を受け止めながら、本校で学んだ力を生かして、自立した一人の人間として、活躍していくことが何よりも大切だと感じています。」
式典終了後には、参加者が中庭で秋篠宮皇嗣妃殿下をお見送りし、多くの人々と言葉を交わされていました。




【附属聴覚特別支援学校の概要】
附属聴覚特別支援学校は、聴覚障害のある幼児児童生徒が学ぶ、国内唯一の国立大学附属特別支援学校(聴覚障害)です。「進んで自分の能力を開発し、広い視野に立って社会の発展に寄与できる人間の育成」を教育目標としています。幼稚部・小学部・中学部・高等部普通科・高等部専攻科(造形芸術科・ビジネス情報科)を設置し、聴覚障害のある0歳児から2歳児の乳幼児とその保護者には、「きこえとことばの相談」に応じています。また、日本各地から高等部に進学する生徒のために寄宿舎を併設しています。
(学校所在地:千葉県市川市国府台2-2-1)
【創立150周年に係るその他の事業】
記念式典を挙行する1年前の令和6年5月22日には、附属聴覚特別支援学校webサイトに「創立150周年記念サイト」を開設し、150年の歩みから主な出来事を紹介しております。同じ記事は、本学附属学校教育局webサイトにも掲載されています。
創立150周年を記念した取組は、校内の各学部でも行われています。幼稚部では150本のろうそくを作り大きなケーキのイラストに飾り付けたり、150年前の学校について話し合う活動を行ったりしました。中学部では行事委員会が「カウントダウンカレンダー」を作成しました。専攻科造形芸術科は、幼児児童生徒全員に「150」を自由にデザインしてもらい、それらを背景にした記念横断幕を制作しました。
