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筑波大学附属病院・陽子線治療センター 陽子線治療棟(新棟)開所式・セレモニーを開催

8月2日、筑波大学附属病院で新たに建設された、陽子線治療棟の新棟開所式が行われました。当院陽子線治療センターは、小児がんにも対応する国内でも数少ない施設です。新棟ではディズニーのキャラクターたちを治療施設の各所の壁面に取り入れることで、陽子線治療に恐怖を感じる小さなお子さんでも、安心して治療が受けられる環境を提供したいと考えています。新棟での患者さんの治療開始は、9月を予定しています。
8月2日の開所式には、ご来賓の国光 あやの 衆議院議員、文部科学省高等教育局医学教育課の日比 謙一郎 課長、茨城県の大井川 和彦 知事、つくば市の五十嵐 立青 市長をはじめ、多数の方々にご臨席いただきました。
開所のあいさつで平松 祐司 病院長は新棟について、
「最新の照射法で、これまで以上の治療効果や効率化が見込まれ、さらに多くの県民や国民の皆様にハイレベルな治療が提供できると期待しています」
とし、本学の永田 恭介 学長は、
「海外からの子どもさんも治療に来ているということで、認知度も上がっている。小児がんと闘う子供たちの大きな味方にもなるということで、これからも進めていきたいと考えています」
と語りました。
陽子線治療は、がん病巣のみを狙い撃ちできるため、他の正常な細胞へのダメージが小さく、従来の放射線治療と比較すると副作用が軽くすみます。筑波大学附属病院では1983年に世界で初めて垂直ビームによる臨床研究を開始し、これまでに小児がんを含めて8,000人以上の治療を行なってきました。今回の陽子線治療施設の更新も、日本では初めての事業です。
陽子線治療センターの櫻井 英幸 部長は、
「このような大きなプロジェクトを前へ進めることが出来たのは、現在、そしてこれからも国内外の陽子線治療の研究、教育、治療の拠点として機能していくという決意があったからです」
と、陽子線治療への思いを語りました。
新棟の建設にあたっては、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う、PFI(Private Finance Initiative)という手法を導入しています。


平松附属病院長から感謝状贈呈)
開所式に続いて行われたセレモニーでは、これまでに筑波大学での陽子線治療を経験された、8名の子供たちとそのご家族のみなさんにもご参加いただき、新棟のオープンを祝いました。

本学附属病院の陽子線治療センターは全国でも数少ない、小児がんの治療が可能な施設です。巨大な陽子線照射設備に不安や寂しさを感じたり、治療中に動いてはいけないことを嫌がったりすることなどから、小さなお子さんへの陽子線治療は難しく、国内では治療を大人に限る医療機関がほとんどです。
新棟では、小児がんの患者の方々が感じる恐怖や不安を少しでも和らげようと、治療の導線に合わせて施設内の壁面に、多くのディズニーのキャラクターが描かれた壁紙を、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社様から社会貢献事業の一環として無償でご提供いただきました。

一部の壁紙では、専用アプリをインストールしたスマホを向けると、壁紙に描かれたキャラクターが音楽に合わせて動き出します。ディズニーの壁紙は治療の導線に沿って施されており、施設の入り口、廊下、治療準備室の中で、様々なキャラクターたちが寄り添います。最も不安を感じやすい照射室の室内の壁には、ミッキーマウスやティンカー・ベルが治療を受ける患者の方々に勇気の魔法をかけているようなデザインが施されています。ディズニーの壁紙のデザインには、不安を少しでも和らげて、治療に向かっていただけるようにという思いが込められています。


開所式とセレモニーにもご参加いただいた、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社の日色 保 社長は、
「今回、筑波大学附属病院と協力をし、がんと向き合う小児患者やそのご家族を対象とした支援を実現できたことは、私たちにとって大きな一歩です。ディズニーのキャラクターや物語が、治療に臨むこどもたちとそのご家族に寄り添い、少しでも不安な気持ちが和らぎ治療に向かっていただけることを願っています」
と語りました。

新棟は、地上4階建てで総面積1,275.50平方メール、高さ23.05mの建物です。今後、治療装置の最終的な調整が行われ、実際に治療で使用されるのは9月からの予定です。