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「運動の種類で睡眠が変わる」 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構がアリナミン製薬との共同研究の成果を発表

筑波大学と株式会社S'UIMIN、アリナミン製薬株式会社は9月29日、昨年度より進めている「疲れと睡眠の関係、および抗疲労成分の効果」に関する共同研究プロジェクトの研究成果として、運動の仕方やその強さによって睡眠への影響が異なることが明らかになったと発表しました。
一般的には「疲れると眠くなる」と考えられていますが、一方で「疲れすぎると眠れない」というケースもあるなど、「疲れと睡眠の関係」についての科学的なメカニズムは、十分に明らかになってはいません。
そこで世界トップレベルの睡眠研究拠点である、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構と脳波測定デバイスを用いた睡眠測定サービスを提供するS'UIMIN社、アリナミン製薬株式会社が連携し、2024年9月より「疲れと睡眠の関係、および抗疲労成分の効果」に関する3か年計画の共同研究を進めています。
今回の研究では、ウエイトトレーニングの様な高強度のレジスタンス運動を行うと睡眠の質が良好となる一方で、ランニングなどの高強度の有酸素運動を行うと睡眠の質は低下するという傾向が示されました。高強度の有酸素運動では「疲れすぎると眠れない」現象が確認されましたが、レジスタンス運動では確認されず、睡眠の質が運動の強度や様式によって異なることが初めて明らかになりました。
アリナミン製薬株式会社の本社で行われた今回の記者会見には、国際統合睡眠医科学研究機構機構長で株式会社S'UIMIN 取締役 CSO会長でもある、筑波大学の柳沢 正史 教授と、同研究機構主任研究者で筑波大学体育系の大藏 倫博 教授が出席しました。

大藏教授は
「高強度の有酸素運動を行うと睡眠時間や睡眠効率が低下するというネガティブな結果となった一方で、レジスタンス運動では中途覚醒時間が短くなったり睡眠効率が上がったりと、ポジティブな結果がはっきりと色分けされたということが、今回の非常に特筆すべき結果であった」
と今回の研究結果を評価しています。
今後は今回の研究結果を元に、抗疲労成分として知られるフルスルチアミンによる、睡眠の質改善効果の検証に取り組む予定です。

柳沢教授は、フルスルチアミンが運動とその後の睡眠の関係に脳内で介入できることが明らかになれば、世界初の成果となるとした上で、
「フルスルチアミンの効果ということを超えて、ひょっとすると運動と睡眠の関係の脳内メカニズムに迫れるきっかけになるのではと期待している」
と、この研究の持つ更なる可能性についても語りました。